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PC-9800シリーズ風の現代PCを作ってみよう!~5インチFDDは動くのかも試してみた

 SilverStoneが2023年に発表し、2025年2月に発売となった「FLP01」というケースをご存じだろうか。見ての通り、古のNECのPC-9800シリーズ、あるいはPC-8800シリーズ風デザインを彷彿とさせる、横置きデザインのATXケースだ。

 このケースは、5インチベイ部分のカバーが5インチFDドライブ風になっているのが特徴。そして上の段は実際の5インチベイ、下の段はカバーで開き、USBなどの前面インターフェイスになっている。

 これを見てふと思うはずだ。「ダミーじゃなくて本物の5インチFDドライブが搭載できたら面白いな」と。ということで、今回はこのケースを使ってPCを組み立て、5インチFDDを載せてみようと思う。

 ただし、スペックは現代スペックにしたい。使うOSもWindows 11、果たしてうまくいくのだろうか。

【写真1】SilverStoneのFLP01
【写真2】ドライブベイの部分(すでに蓋を外した状態)

今回用意したPCパーツ

 今回用意したパーツは下表の通り。ケースと電源はSilverStoneからお借りした。

今回の構成
【写真4】今回用意したパーツ

 マザーボードは編集部からお借りしたMINISFORUMの「BD795M」。やや特殊ではあるが、フォームファクタ的にmicroATXで問題はない。Ryzen 9 7945HXはんだ付けで搭載済みとなっている。詳細については以下のレビューを確認してほしい。

 一方、CPUクーラーは高さが低いものが必要になった。これはドライブに干渉する可能性があるためだ。今回使用したID-COOLINGの「IS-55-BLACK」は、高さを55mmに抑えつつ薄型の120mm角ファンを搭載したトップフロー型のCPUクーラーで、これなら問題なく収まる。

 今回ビデオカードを載せないので、電源の容量はそこまで必要はないのだが、850Wの80PLUS GoldかつPCIe 5.0に対応、フルモジュラータイプの「DA850R Gold」を利用した。

【写真5】今回使用するマザーボード

 あとはUSB接続するためのUSB-FDD変換、そしてチェック用に3.5インチFDドライブ「JU-256A216P」も用意した。また5インチFDドライブもTEACの「FD-55BR-320」NECの「FD1155D」と合計で2台用意した。

 USB-FDD変換はAmazonやAliExpressで手に入る。一方、3.5インチFDドライブは手持ちを、5インチFDドライブの1台は秋葉原最終処分場で、もう1台はTwitterのフォロワーからお借りした格好となる。

【写真6】パナソニックの3.5インチFDD「JU-256A216P」
【写真7】TEAC FD-55BR-320
【写真8】NEC FD1155D

パーツを詰め込んでいく

 続いてパーツを組み込んでいこう。5インチFDドライブを取り付ける前に、PCとして動く状態にしたいのでパーツを組み込んでいくが、組み込む前に5インチベイ部分のベゼルを外しておく必要がある。

 手順としてはドライブの固定ステイを外し、内部から前面パネルを固定しているねじを外して、前面パネルを外したら、そこから5インチベイ部分のフタになる部分を外す。後で逆手順で戻すだけだ。なお、光学ドライブをこの面と合わせたい場合、ねじ穴が合わないので注意が必要だ。

【写真9】ドライブ取り付けフレームを外した状態
【写真10】蓋の固定のこのネジを外すために前面ベゼルを外す必要がある

 マザーボードには既にCPUがついているので、CPUクーラーとメモリ2枚、SSDを取り付けておく。メモリはSO-DIMMなのでノートと同じ斜めに挿し込み、倒す形でセット。SSDはデスクトップと変わらず、取り付けネジは付属品の中に入っている。

 今回のマザーボード、CPUこそAMDだが、CPUクーラー取り付け用の穴はIntelのCPUクーラーと同じなので、ブラケットはIntel用を使うのがポイント。ここまで取り付けたらケースに入れよう。

【写真11】メモリの取り付け
【写真12】SSDの取り付け
【写真13】CPUクーラーのブラケット取り付け
【写真14】CPUクーラー取り付け

 マザーボードをケースに取り付ける前に、背面I/Oパネルをまずはケースに取り付けることを忘れないようにしよう。

 続いてマザーボードを入れていく。スペーサーの穴がやや変則的ではあるものの、基本的にmicroATXと同じ位置なので、まずはスペーサーを配置、そしてマザーボードをそこにのせて固定した。背面I/Oパネルからコネクタの位置がやや離れているものの差し込みには問題なかった。

【写真15】I/Oパネル取り付ける
【写真16】マザー固定
【写真17】IOパネルからコネクタまで距離が少しある

 次に前面スイッチやUSB、オーディオケーブルをつなげたら、電源をケースに取り付け電源ケーブルも各種接続していく。ちなみに後述する3.5インチFDDや5インチFDDにはペリフェラル電源が必要なので、後で接続しておくことにした。

 フルモジュラータイプの電源は、必要なケーブルだけ接続すればいいので、ケーブルが場所を取ることもないので助かる。とはいえ、今回はスペースかなり余裕があるのだが。

【写真18】前面ケーブル接続
【写真19】電源組み込みと電源ケーブル接続

 パーツを組み込んだのでOSをインストール、これで準備完了だ。

5インチFDDは果たしてWindows 11で動作するのか?

 まずは確実に動きそうな3.5インチFDDがOS上から認識できるのかを確認することからスタートした。すると当たり前のように無事ハードウェアとして認識して、FDをフォーマットできることも確認できた。つまり、Windows 11でもFDDは使えることが分かった。

【写真20】

 ただ、今回用意したFDD→USB変換基板は3.5インチ用である。これを5インチFDDに接続するには別途ケーブルが必要のようである。これは知り合いに頼んで入手できたのだが、ピンの向きとして、上の段と下の段を入れ替える必要があるようだ。

 悩んだ末、前面パネルのスイッチなどに使うピン延長ケーブルを使ってやや強引に変更した。なお、電源に関してはPCの電源から供給するため、USB変換基板からFDDにつなげる電源ケーブルは使用しない。

【写真21】ドライブとケーブル

 まずはTEACのFD-55BR-320から接続してみた。

 するとモーターは動くが認識はしない、という結果に。型番から調べてみたところPC-88用の2D(両面倍密度)専用ドライブらしく、手元にメディアがないので、動作は断念した。

 もう1台のNECのFD1155Dは、前面ベゼルがないものの2HD(両面高密度)対応ドライブで、こちらはメディアも合わせてお借りできた。早速同様に接続。今度はドライブとしては認識した(アイコンが表示された)。そしてメディアを入れてモーターが回る音もするが、フォーマットしようとするとヘッドが動かず、エラーになってしまった。

 何度か試し、メディアを変えてみたが変わらず。ドライブが不良なのかと確かめようにも、既にそれが動くマシンはないので、残念ながらここまでとなった。

【写真22】動作チェックの図
【写真23】エラー画面

レトロ感を高めていこう!

 ただ、ここで終わっては面白くないので、レトロの雰囲気を高めていこう。

 まずはCRTモニターを用意した。EIZO(当時はナナオというべきか)の「FlexScan T566」という製品。推奨解像度は1,280×1,024ドットで、17型のアパーチャーグリルを採用したモデルである。ミニD-Sub15ピン接続なのだが、HDMIからの変換ケーブルがあるのでこれで対応した。

 なお、FLP01はCRTモニターを上に置いて使うことは想定していないようなので、保証外となるが、載せてみたところ、FLP01側の剛性がしっかりあるため特に問題がなかった。

【写真24】モニター置いてみた
【写真25】さらにPC-9801用キーボードを用意し、USB接続に変換する「魔術師の杖98 Ver.3」を購入して接続した
【写真26】すべて接続した状態を見てほしい。レトロなPCになったのではないだろうか

 5インチFDドライブの写真はベイに入れただけの飾りとなってしまったのは残念だが、3.5インチはFDの写真はちゃんとFDが使えるようになっている。

【写真27】5インチベイは蓋がある状態でねじ位置が合うようにできているため、外すとねじ位置が合わない。今回固定してないものの、実際に固定したい場合はねじ穴をあける必要があるので注意されたい

次回はFLP02でWindows 9xマシンに挑戦だ!?

【写真28】残念ながら動作しなかった5インチFDD

 残念ながら今回は5インチFDDがうまく動いてくれなかったが、また別のドライブが手に入ったら、USBで接続できるかチャレンジしたいと思う。

 なお、SilverStoneはCOMPUTEX TAIPEI 2025にて、またもレトロな外観を持つタワー型のATXケース「FLP02」を発表していた。次は中身も当時の古いパーツを揃えて、組んだみたいと思う。もちろんその時、OSはWindows 95か98で。

【写真29】COMPUTEX TAIPEI 2025で展示されたFLP02