やじうまミニレビュー
ヒートシンクなしでOK?SandiskのPCIe 5.0爆速SSD「WD_BLACK SN8100 NVMe SSD」
2025年5月30日 06:24
サンディスク(Sandisk)は、PCIe 5.0に対応したコンシューマ向けのM.2 SSD「WD_BLACK SN8100 NVMe SSD」(以下SN8100)を6月中旬に発売予定だ。発売前にヒートシンクなしの2TBサンプルをお借りできたので、簡単にご紹介したい。なお、価格はオープンプライスで、実売予想価格は4万1,000円前後だ。
SN8100はサンディスク初となるPCIe 5.0対応のSSD。最大シーケンシャルリード14,900MB/s、同ライト14,000MB/sとされている。PCIe 5.0 x4のデータリンク層の転送帯域は単方向15.75GB/s(16,128MB/s)なので、そのほぼ上限に迫る速度だ。
これに近い速度を達成するPCIe 5.0対応のハイエンドSSDはこれまでもあったのだが、発熱が厳しくヒートシンクでの冷却が必要なモデルが多かった。一方、SN8100はPCIe 4.0対応モデル同等もしくは以下の電力で2倍の速度を達成し、電力効率の向上が大きく謳われている。そのため、6月発売時点ではヒートシンクなしモデルしか用意されないのがポイントだ。
最近の自作向けミドルレンジ以上の価格帯のマザーボードでは、あらかじめヒートシンクが用意されているため、そもそもヒートシンクが不要だという判断もあろうが、低発熱に対するSandiskの自信の表れだと捉えることもできよう。また、スペース的に制約が大きいノートPCといったフォームファクタにおいては、「PCIe 4.0のSSDと同等の熱対策でPCIe 5.0のSSDが使える」メリットは大きい。
今回のテストにあたって、PCIe 5.0レーンの制約を受けないXeon w9-3495Xプラットフォームで計測した。そのほかの構成は下記の通り。
【表】テスト環境 | |
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CPU | Xeon w9-3495 |
メモリ | DDR5-4800(8ch) 128GB |
SSD | Lexar Professional NM800 M.2 2280 NVMe SSD(1TB) |
ビデオカード | Palit GeForce RTX 4090 GameRock OC |
OS | Windows 11 Pro 23H2 |
電源 | Hydro G PRO ATX3.0 (PCIe5.0)1000W |
ケース | Thermaltake View 31 TG |
時間の都合上、CrystalDiskMarkしかテストしないが、最大の64GBブロックサイズにおいても、公称値の14,900MB/sに迫る速度を叩き出していることが確認できる。(そもそも容量使用率0%の状態なので当たり前だと言えるが)さまざまなパターンで連続してテストしてみても、そのスコアは極めて安定していた。
もちろん、連続して大容量のデータを書き込んだり、空き容量が減った状態では、別の側面が現れると予測されるため、あくまでもピーク値の参考として留めておいてほしい。
注目の発熱について、CrystalDiskMarkで64GB書き込み中の温度をサーモグラフィで確認したところ、表面においてコントローラ付近でピーク72℃前後だった。ちなみに室温は23℃、テスト環境におけるケース内エアフローは弱め(計測のために側面オープン)。これならノートPCといったフォームファクタにも問題なく収まりそうではある。
なお、Sandiskは採用コントローラについて公開していないが、ヒートスプレッダの形状や、比較的低発熱であるという特性からして、Silicon Motionの「SM2508」をベースとしたカスタム品である可能性が高い。
本製品最大の課題は2TBで4万円超えという価格だ。PCIe 4.0対応品なら今は1万円台半ばから購入できるので、容量に対するコストパフォーマンスを優先するならそちらしかない。とは言え、この状況はPCIe 4.0対応SSDが登場した時のPCIe 3.0対応SSDとの関係と同じであり、Sandiskが言う通り本格普及は2026年以降になる雰囲気だ。
そのため本製品を含むPCIe 5.0 SSDは、アーリーアダプタもしくはエンスージアスト向け……ということになる。実際に筆者も最近ローカルでさまざまなLLMを試そうとし始めているが、PCIe 4.0 SSDとPCIe 5.0 SSDのロード時間の差が気になり出し始めている。本格的なAI時代の到来に向けて、大容量VRAM、大容量メモリ、そして高速SSDの準備は、もうぼちぼち始めた方がいいかもしれない。