やじうまミニレビュー

ヒートシンクなしでOK?SandiskのPCIe 5.0爆速SSD「WD_BLACK SN8100 NVMe SSD」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
WD_BLACK SN8100 NVMe SSD

 サンディスク(Sandisk)は、PCIe 5.0に対応したコンシューマ向けのM.2 SSD「WD_BLACK SN8100 NVMe SSD」(以下SN8100)を6月中旬に発売予定だ。発売前にヒートシンクなしの2TBサンプルをお借りできたので、簡単にご紹介したい。なお、価格はオープンプライスで、実売予想価格は4万1,000円前後だ。

 SN8100はサンディスク初となるPCIe 5.0対応のSSD。最大シーケンシャルリード14,900MB/s、同ライト14,000MB/sとされている。PCIe 5.0 x4のデータリンク層の転送帯域は単方向15.75GB/s(16,128MB/s)なので、そのほぼ上限に迫る速度だ。

 これに近い速度を達成するPCIe 5.0対応のハイエンドSSDはこれまでもあったのだが、発熱が厳しくヒートシンクでの冷却が必要なモデルが多かった。一方、SN8100はPCIe 4.0対応モデル同等もしくは以下の電力で2倍の速度を達成し、電力効率の向上が大きく謳われている。そのため、6月発売時点ではヒートシンクなしモデルしか用意されないのがポイントだ。

 最近の自作向けミドルレンジ以上の価格帯のマザーボードでは、あらかじめヒートシンクが用意されているため、そもそもヒートシンクが不要だという判断もあろうが、低発熱に対するSandiskの自信の表れだと捉えることもできよう。また、スペース的に制約が大きいノートPCといったフォームファクタにおいては、「PCIe 4.0のSSDと同等の熱対策でPCIe 5.0のSSDが使える」メリットは大きい。

製品パッケージ
パッケージ内容
本体背面
発表会での展示もヒートシンクなしだった

 今回のテストにあたって、PCIe 5.0レーンの制約を受けないXeon w9-3495Xプラットフォームで計測した。そのほかの構成は下記の通り。

【表】テスト環境
CPUXeon w9-3495
メモリDDR5-4800(8ch) 128GB
SSDLexar Professional NM800 M.2 2280 NVMe SSD(1TB)
ビデオカードPalit GeForce RTX 4090 GameRock OC
OSWindows 11 Pro 23H2
電源Hydro G PRO ATX3.0 (PCIe5.0)1000W
ケースThermaltake View 31 TG

 時間の都合上、CrystalDiskMarkしかテストしないが、最大の64GBブロックサイズにおいても、公称値の14,900MB/sに迫る速度を叩き出していることが確認できる。(そもそも容量使用率0%の状態なので当たり前だと言えるが)さまざまなパターンで連続してテストしてみても、そのスコアは極めて安定していた。

 もちろん、連続して大容量のデータを書き込んだり、空き容量が減った状態では、別の側面が現れると予測されるため、あくまでもピーク値の参考として留めておいてほしい。

CrystalDiskMark 8.1.0(Beta)設定:デフォルト
プロファイル:デフォルト、1GiB
プロファイル:デフォルト、8GiB
プロファイル:デフォルト、64GiB
プロファイル:現実性能、1GiB
プロファイル:現実性能、8GiB
プロファイル:現実性能、64GiB
プロファイル:ピーク性能、1GiB
プロファイル:ピーク性能、8GiB
プロファイル:ピーク性能、64GiB
CrystalDiskMark 8.1.0(Beta)設定:NVMe
プロファイル:デフォルト、1GiB
プロファイル:デフォルト、8GiB
プロファイル:デフォルト、64GiB
プロファイル:現実性能、1GiB
プロファイル:現実性能、8GiB
プロファイル:現実性能、64GiB
プロファイル:ピーク性能、1GiB
プロファイル:ピーク性能、8GiB
プロファイル:ピーク性能、64GiB

 注目の発熱について、CrystalDiskMarkで64GB書き込み中の温度をサーモグラフィで確認したところ、表面においてコントローラ付近でピーク72℃前後だった。ちなみに室温は23℃、テスト環境におけるケース内エアフローは弱め(計測のために側面オープン)。これならノートPCといったフォームファクタにも問題なく収まりそうではある。

CrystalDiskMark実行時のサーモグラフィ結果。なお、72℃というのは範囲表記であったのだが、この写真に写っていない

 なお、Sandiskは採用コントローラについて公開していないが、ヒートスプレッダの形状や、比較的低発熱であるという特性からして、Silicon Motionの「SM2508」をベースとしたカスタム品である可能性が高い。

 本製品最大の課題は2TBで4万円超えという価格だ。PCIe 4.0対応品なら今は1万円台半ばから購入できるので、容量に対するコストパフォーマンスを優先するならそちらしかない。とは言え、この状況はPCIe 4.0対応SSDが登場した時のPCIe 3.0対応SSDとの関係と同じであり、Sandiskが言う通り本格普及は2026年以降になる雰囲気だ。

 そのため本製品を含むPCIe 5.0 SSDは、アーリーアダプタもしくはエンスージアスト向け……ということになる。実際に筆者も最近ローカルでさまざまなLLMを試そうとし始めているが、PCIe 4.0 SSDとPCIe 5.0 SSDのロード時間の差が気になり出し始めている。本格的なAI時代の到来に向けて、大容量VRAM、大容量メモリ、そして高速SSDの準備は、もうぼちぼち始めた方がいいかもしれない。